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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第12章 天津水
だから心のまま、苦味を帯びた声で許しを乞うようにその言葉を告げれば……もう諦めたように、傘がなお深く傾く。そして、同じように低い声でそれが語られた。
「……神依様は……今、とてもお辛い状況にあられます」
「……」
「風や眼差しに乗せられる悪意に心を痛め、あまり家から出たがらなくなりました。稽古の場では、所作や舞以上に……外見や振る舞いに心無い中傷を受けたようで、食も細くなりました」
「……」
「しかし私には……そうなる前の、彼女の在り方がとても好ましいものだったのです。それは、貴方様の御友人にも既にお伝えしましたが……、一時の痛みから逃そうと、あの方を狭い真四角の箱に詰め込むような、そんな真似を致したくはありません」
「……しかし、それをしなかったからこそ今あれは苦しんでいるのではないか。禊たるお前が何故──」
だがそれを口にしてすぐ、日嗣は嫌な気分になって軽く頭を横に振った。それでは……今までと何も変わらない。ただの、淡島の巫女の一人になるだけだ。
(本当は──解っている)
きっとこの禊がそれをしなかったからこそ、自分もまた、こんなにもあの娘が気になっている。
そしてそう思った瞬間、日嗣はあることに思い至った。
「……神依様は……今、とてもお辛い状況にあられます」
「……」
「風や眼差しに乗せられる悪意に心を痛め、あまり家から出たがらなくなりました。稽古の場では、所作や舞以上に……外見や振る舞いに心無い中傷を受けたようで、食も細くなりました」
「……」
「しかし私には……そうなる前の、彼女の在り方がとても好ましいものだったのです。それは、貴方様の御友人にも既にお伝えしましたが……、一時の痛みから逃そうと、あの方を狭い真四角の箱に詰め込むような、そんな真似を致したくはありません」
「……しかし、それをしなかったからこそ今あれは苦しんでいるのではないか。禊たるお前が何故──」
だがそれを口にしてすぐ、日嗣は嫌な気分になって軽く頭を横に振った。それでは……今までと何も変わらない。ただの、淡島の巫女の一人になるだけだ。
(本当は──解っている)
きっとこの禊がそれをしなかったからこそ、自分もまた、こんなにもあの娘が気になっている。
そしてそう思った瞬間、日嗣はあることに思い至った。

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