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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第12章 天津水
 ぐい、と腕を引っ張られて、磔(はりつけ)のように社の壁に押さえ付けられる。更に驚いたことに、巫女達は私の帯を解くとそこから帯紐を抜きそれを足に巻き付けてきた。
 「ちょっと……何するの、嫌! やめて!」
「今更、遅いのよ。態度もお顔もあんたは見せかけだけ。どっちももうちょっと可愛げがあれば、助かったかもしれないのにね」
「──私だって、好きでこの顔で生まれたわけじゃないわ! あなた達が何を言ってるか、分からないのよ!」
「じゃあ考えなさい」
衣が分けられ、下着まで剥がれて、今日まで神々に愛されてきた証でもある朱印が山と刻まれた肌があらわになる。巫女達はそれも気に入らなかったようで、あるだけの刷毛や筆を持つと恐ろしい相談を始めた。
「どこからやる?」
「みんなで、せーのでいいんじゃないかしら」
「全員顔になったら悲惨よ」
「上でも下でも、どこに塗りたくろうがしばらくは“使い物”にならないだろうし、楽しめるわ。良かったわね、考える時間はたっぷりあるわよ」
笑いながら、刷毛を宙でくるくると回す彼女達がどこまで本気だったのかは分からない。
 椀の中にあるそれが何なのか、後から胡桃の汁が混ぜてあったと知った時は本当にゾッとした。
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