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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第12章 天津水
 その頃の私には、彼女達が何を言っているのかさっぱり分からなかった。
 分かろうはずもなかった。
 その頃の私はまだ幼く、自らのことを微塵も疑わなかった。
 神々は私を花のように愛らしい、美しい巫女だと言って毎夜のように通ってくれたし、歌や舞もどんどん上達して、元々本を読むことも好きだったし、学もするすると頭の中に入っていった。
 それを教えてくれる、とうの経った姐さん巫女は私をうんと可愛がってくれたし、その頃の洞主様はもう年のいったお婆様だったけれど、特に目を掛けて下さっているようだった。
 だから──つまらない妬みでこんなことを仕出かす巫女達を、私は心の底から軽蔑していた。
 なんて愚かな人達。こんなことする暇があるのなら、化粧に回した方がまだ可能性もありそうなものなのに、と。
 ……愛されないって、こんなにも惨めなことなのね、と思えばふと笑みがこぼれた。
 「……あなたって、本当に最低ね」
私を囲む巫女の一人がそう呟く。鏡でも見て言ってくればいいのに。
「押さえて。さっさとやってしまいましょう」
「明日からどうなるか、楽しみだわ」
「あっ……」
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