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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第12章 天津水
 私は彼女を呼び止める暇もなく、そこにいた巫女達に逃げ道を塞がれてしまった。社の壁に背が付き、得体のしれない恐怖に包まれながら巫女達を見上げれば……彼女達はとても美しい顔をしているのに、その表情は腐った果実のように醜いものだった。
 「──ほら見て、これ何か分かる?」
そう言って差し出されたものは、一見水のようなものが入った器。どうせろくなものじゃない、と私は眉をひそめる。
「……分かりたくもないわ」
「そうよね、でもこれからどうなるかくらいは分かるでしょう?」
「……」
 馬鹿ばっかり。
 そんなことしたって、あなた達が愛されるわけではないのに。
 そんなふうに思っていれば、巫女達はその腐った顔をなお歪めて言った。
「奥社に入れば、あなたより優れた巫女は沢山いるわ。でもどうしてあなただけが嫌われるか、考えたことはある?」
「……あなた達の心根が、汚いからでしょう」
「……呆れた。よくそんなことが言えたわね。──あなたのそういうところが、私達はだいっきらいなのよ」
「気付かれていないとでも思ってた? そうね、男にはわからないかもしれない。神々や洞主様達には一時の憐れみをかけられていると、あなたはそんなこと思いもしない」
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