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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第12章 天津水
それに答える代わりに、禊はもう一度だけ優しく神依を抱きしめる。
 これで最後だと、その柔らかさを体全体で感じて。
 神依もまた、その無償の愛情を忘れないようにその温もりを頬に感じて。
 「……進貢には、やっぱり一緒に行って。私……もう、自分が変だなんて思わない。人の目なんて気にしない。あなたや童が、それでも私を大事にしてくれたから。……今度は、私があなた達を守れるくらい強くなる。悲しい思いをさせないくらい、ちゃんと生きてみせるから」
「はい」
その短く力強い返事に、神依は一つ頷くと顔を上げ……禊の傍らに座り直すと、神々にするように深く深く頭を下げた。
「……本当にありがとう、禊。それから……ごめんなさい」
「……いいえ。私は本当に、最後に良き主に巡り会えました。それはきっと、伍名様でさえ語りおおせない、奇跡に恵まれた縁(えにし)だったのでしょう。……それから最後ついでに一つ、よろしいでしょうか」
「なに?」
「禊はそういう役目故、実は奥社にいる間に私にも選ぶ権利がございました。ですが私はそれをしなかった。……それが私の黙っていたこと全てです」
「うん……嬉しい」
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