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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第12章 天津水
「二人とも、手を出して」
「姉ちゃん──できたの?」
「まだ途中。でも、もう結んじゃうね」
「……」
何か訳知り顔な弟分に禊が怪訝そうな顔を作れば、主はその箱の中から隅に寄せられた一本の紐飾りを摘まみ取り上げた。その傍らには真新しい糸の房や、穴の開いた水晶のさざれが散らばっている。
「それは──あの龍神の?」
「そう。童に頼んで穴を開けてもらったの。糸も、ちゃんとみんなで紡いだんだよ。鼠軼様と鼠英様が手伝って下さって、千切れちゃった時は蜘蛛の女神様が繋いでくれたの。だから、すごく丈夫な糸ができたんだよ。それで、紐に編んだのは私」
「教えたの俺だけどな」
「いいの! ……きつくない?」」
「……はい」
禊は左手首に結ばれたその紐飾りをじっと見つめる。
角が落とされ、玉水のようにふっくらとした水晶が編み込まれた……ただそれだけの、素朴な細い紐飾り。
「童も」
「なんか短くない? 俺すぐでかくなるよ」
「そしたら作り直してあげる」
そして嬉々として童の手にもそれを結ぶ主を見て、禊はようやく理解した。
箱の中にはもう一本、きっと一番はじめに作ったのだろう──自身の手首にあるものより見栄えのよろしくないものが残されている。
「姉ちゃん──できたの?」
「まだ途中。でも、もう結んじゃうね」
「……」
何か訳知り顔な弟分に禊が怪訝そうな顔を作れば、主はその箱の中から隅に寄せられた一本の紐飾りを摘まみ取り上げた。その傍らには真新しい糸の房や、穴の開いた水晶のさざれが散らばっている。
「それは──あの龍神の?」
「そう。童に頼んで穴を開けてもらったの。糸も、ちゃんとみんなで紡いだんだよ。鼠軼様と鼠英様が手伝って下さって、千切れちゃった時は蜘蛛の女神様が繋いでくれたの。だから、すごく丈夫な糸ができたんだよ。それで、紐に編んだのは私」
「教えたの俺だけどな」
「いいの! ……きつくない?」」
「……はい」
禊は左手首に結ばれたその紐飾りをじっと見つめる。
角が落とされ、玉水のようにふっくらとした水晶が編み込まれた……ただそれだけの、素朴な細い紐飾り。
「童も」
「なんか短くない? 俺すぐでかくなるよ」
「そしたら作り直してあげる」
そして嬉々として童の手にもそれを結ぶ主を見て、禊はようやく理解した。
箱の中にはもう一本、きっと一番はじめに作ったのだろう──自身の手首にあるものより見栄えのよろしくないものが残されている。

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