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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第12章 天津水
それだけ言うと神依は涙を拭い、鼻をすすり、それでも真っ赤な目をしながら睨むように禊を見上げる。
知らないところで、本当に自身の人生を懸けて生きていた名すら持たない青年。それが神依には痛々しくて、堪らなかった。けれどもだからこそ、受け止めなければならなかった。
反面、禊の方はもう憑き物が取れたようにすっきりとした顔をして……その分を神依に背負わせてしまったことは否めないが、それも含めて支えていけばいいとさえ思っていた。
そして微かに笑みを浮かべると、その心に違わぬ穏やかな声で、ゆっくりと神依の問いに答えた。
「……あの日貴女が、御令孫の羽織に包まれていたのを見た瞬間、理解したからです。今度もまた、この巫女は神に拐われていくのだろうと。そして今度の神は、もはや私が抗えるようなお方ではないと」
「それ……最初から」
「はい。そしてその予想通り……あの神は貴女を求め、貴女もその度に見事、神に応えてみせました。巫女としても、一人の女としても、貴女は御令孫の御心を惹き付け、依せてしまわれた。……そうして貴女という原石が少しずつ磨かれていく様は……私には本当に、喜ばしくも、腹立たしくもありました」
「……」
知らないところで、本当に自身の人生を懸けて生きていた名すら持たない青年。それが神依には痛々しくて、堪らなかった。けれどもだからこそ、受け止めなければならなかった。
反面、禊の方はもう憑き物が取れたようにすっきりとした顔をして……その分を神依に背負わせてしまったことは否めないが、それも含めて支えていけばいいとさえ思っていた。
そして微かに笑みを浮かべると、その心に違わぬ穏やかな声で、ゆっくりと神依の問いに答えた。
「……あの日貴女が、御令孫の羽織に包まれていたのを見た瞬間、理解したからです。今度もまた、この巫女は神に拐われていくのだろうと。そして今度の神は、もはや私が抗えるようなお方ではないと」
「それ……最初から」
「はい。そしてその予想通り……あの神は貴女を求め、貴女もその度に見事、神に応えてみせました。巫女としても、一人の女としても、貴女は御令孫の御心を惹き付け、依せてしまわれた。……そうして貴女という原石が少しずつ磨かれていく様は……私には本当に、喜ばしくも、腹立たしくもありました」
「……」

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