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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第12章 天津水
「姉ちゃん──」
禊に詰め寄るように立ち上がりかけた神依を、ぐ、と童がその裾を掴み引き留める。
「童──」
「そう思うなら……一ノ兄の話、最後まで全部聞いてやって。それは確かに禊の仕事だ。でも禊の本当の役目はまだ他にある。……一ノ兄がずっと黙ってたこと。そんで、なんで一ノ兄が姉ちゃんには黙ってたか、言えなかったか、姉ちゃんには考えてほしい」
「……禊の……本当の役目?」
「……はい」
それは、と禊が一呼吸置くのと同時に一陣の風が玻璃を揺らす。
そしてそれを“禊”自身の口から聞いた神依は、みるみるその表情を変えて、震える声で問い返した。
「……うそ……でしょう」
「……残念ながら、本当です」
「……嘘。──嘘つき」
「……申し訳ありません」
「だって……だって、そんな」
神依は淡島に流れ着いてから今日までの日を思い返して、自らの幸せな馬鹿さ加減に絶望する。
何故、目の前の青年を一度でも問い詰めなかったのだろう。何故、自身が巫女でこの青年が禊であったことを一度でも疑わなかったのだろう。何故全て──全て信じて、鵜呑みにしてしまったのだろう。
──禊が頑なに秘めていた、本来の禊の役目。それは。
禊に詰め寄るように立ち上がりかけた神依を、ぐ、と童がその裾を掴み引き留める。
「童──」
「そう思うなら……一ノ兄の話、最後まで全部聞いてやって。それは確かに禊の仕事だ。でも禊の本当の役目はまだ他にある。……一ノ兄がずっと黙ってたこと。そんで、なんで一ノ兄が姉ちゃんには黙ってたか、言えなかったか、姉ちゃんには考えてほしい」
「……禊の……本当の役目?」
「……はい」
それは、と禊が一呼吸置くのと同時に一陣の風が玻璃を揺らす。
そしてそれを“禊”自身の口から聞いた神依は、みるみるその表情を変えて、震える声で問い返した。
「……うそ……でしょう」
「……残念ながら、本当です」
「……嘘。──嘘つき」
「……申し訳ありません」
「だって……だって、そんな」
神依は淡島に流れ着いてから今日までの日を思い返して、自らの幸せな馬鹿さ加減に絶望する。
何故、目の前の青年を一度でも問い詰めなかったのだろう。何故、自身が巫女でこの青年が禊であったことを一度でも疑わなかったのだろう。何故全て──全て信じて、鵜呑みにしてしまったのだろう。
──禊が頑なに秘めていた、本来の禊の役目。それは。

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