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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第12章 天津水
 そこまでほとんど黙って話を聞いていた神依は、そのあまりのやるせなさに悔しそうに顔を歪めた。
「……でも……でも、そんなのって……ないよ……。そうじゃない?」
「神依様……」
 大兄が洞主のことをすごく大切に想っていることくらい、神依にも分かる。そして神依自身も……その狼藉を働かれたからこそ、禊の想いが痛いほど分かった。それなのに。
 「そんなのおかしい。……そんなの、酷いだけじゃない……」
「……そう思っていただけるだけで、私達には幸いなことです。ほとんどの巫女は、いざその時が来るまでそれすら知ることはありません。私も、本来はお伝えする必要がないと申し上げたはずです」
「そんな……!」
 今になって、神依に妻問いの話を持ち掛けた洞主が、その前に禊に謝罪した意味が分かる。それでもあまりの無慈悲さと、それを既にさせてしまった自分にまず腹が立った。
 「そんなの……禊達には、ちっとも幸せじゃないじゃない」
「いいえ。それでも、私達の幸せは貴女達の隣にあるのです」
「なんで? 私──私、前に言ったよね? 巫女は……禊は、恋をしてもいけないのって。それすら許されず、そんなことまでさせられて……どうしてあなた達“禊”は、そんなことが言えるの?」
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