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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第12章 天津水
「──それを……大兄さんも、ずっと見てきたというの?」
「……はい。大兄のことを考えれば、きっと今の私などは本当に──幸いなのです。洞主様はまたその寵愛に甘んじることなく、楽舞や学問、歌などを学び、ますますに神々を惹き付けていきました。ですので……それを妬んだ他の巫女から、酷い仕打ちを受けることもあったようです」
「酷い……って」
「いえ……私はその頃はまだ童として付き従い、日中は働きに出ておりましたし……、また大兄もそういう話は私には卸さなかったので、直接的にはあまり存じ上げないのですが……。
洞主様が今のお立場になられたのはその聡明さはもちろん、神々にも顔が利き、また巫女の喜びも憂いもその全てを自らが体験なされてきたからだと思っています。貴女に気を配って下さったのも、もしかしたら御自分と重ねる部分があったのかもしれません」
 話を戻しますが、と禊は前置きして先を続ける。
「……そんなふうに、禊というものはその全てを巫女や覡に捧げるように──摂理として、作られているのだと思います。なので貴女がこれから先、何人の神と交わろうと私が貴女を見下げることはありません。そしてこれをお話する以上、私があのような狼藉を働くことももう無いかと……思います」
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