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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第11章 連理
そんな残酷なことを強いるくらいなら、奥社で洞主や大兄と一緒に過ごさせてあげた方が幸せかもしれない。けれどそう思えばじわ、と涙が浮かび、神依にはどちらがいいのか決められなかった。引き留めていいのか、見送るべきなのか、分からなかった。
ただお腹の辺りをそっと撫でれば、涙の残滓が指先を濡らす。くすぐったい。
「……禊、こちらへ来なさい」
そしてそんなふうに、神依が上手く言葉をまとめられないままいれば……代わりに口を開いたのは、伍名だった。
「──伍名──様」
その呼び掛けに禊はふと顔を上げるが、しかしすぐにまた頭を垂れて拒絶の意を表す。
「それは──もはや私には許されないことです。私はもう……」
「たとえお前が神依の臣でなくとも、“禊”でさえなくとも。淡島の住人である以上、私の──神の僕(しもべ)であることに変わりは無い。こちらへ来なさい」
「……」
相変わらず柔い声音で紡がれるその言葉だったが、その言い方は禊には抗えないものだった。
禊は一度それに応えるように顔を上げると、神依を見、許しを乞うように再び頭を下げてから神の前に座り直す。しかしやはり、神依とも童とも目を合わせようとはしなかった。
ただお腹の辺りをそっと撫でれば、涙の残滓が指先を濡らす。くすぐったい。
「……禊、こちらへ来なさい」
そしてそんなふうに、神依が上手く言葉をまとめられないままいれば……代わりに口を開いたのは、伍名だった。
「──伍名──様」
その呼び掛けに禊はふと顔を上げるが、しかしすぐにまた頭を垂れて拒絶の意を表す。
「それは──もはや私には許されないことです。私はもう……」
「たとえお前が神依の臣でなくとも、“禊”でさえなくとも。淡島の住人である以上、私の──神の僕(しもべ)であることに変わりは無い。こちらへ来なさい」
「……」
相変わらず柔い声音で紡がれるその言葉だったが、その言い方は禊には抗えないものだった。
禊は一度それに応えるように顔を上げると、神依を見、許しを乞うように再び頭を下げてから神の前に座り直す。しかしやはり、神依とも童とも目を合わせようとはしなかった。

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