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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第11章 連理
【3】
その刹那、
「──ッ一ノ兄!!」
闇も光も濁ったような空間を、一閃の幼い声が貫く。
その声に禊は一瞬肩を震わせ、動きを停めた。
「……」
神の目が動く。灯の蝋燭が空気の流れに揺らめく。壁の影が揺れる。心臓がドクドクと波打つのが分かって、体の感覚と意識がぷつぷつと小さな線で繋がっていく。禊は手にものすごい力が入っていたのに気付いて、その中で柔らかい何かが張り詰めているのに気付いて、その痛々しい感触に力を緩めた。
そして数秒前に響いた声が誰のものか分かって、ようやく顔を上げてそちらを向いた。
「……、……一ノ弟?」
「一ノ兄……。もういいだろ、一ノ兄。姉ちゃんももう分かってる。分かってるから……」
「……」
「ごめんな……一ノ兄……」
今にも泣き出しそうな顔をしてうなだれる弟分を、禊は唐突に夢から醒めたような呆けた眼差しで見つめる。
ただ一ノ兄と呼ばれる度に体が和らぐ気がして、ああ自分は“そう”だったと自覚することができた。生意気でお喋りで、元気だけは有り余った……たくさんの才に溢れた弟の、ただ一人の兄。血の繋がりは無くとも、互いに別のもので繋がっている。
見せかけの、本物以上の兄弟。
その刹那、
「──ッ一ノ兄!!」
闇も光も濁ったような空間を、一閃の幼い声が貫く。
その声に禊は一瞬肩を震わせ、動きを停めた。
「……」
神の目が動く。灯の蝋燭が空気の流れに揺らめく。壁の影が揺れる。心臓がドクドクと波打つのが分かって、体の感覚と意識がぷつぷつと小さな線で繋がっていく。禊は手にものすごい力が入っていたのに気付いて、その中で柔らかい何かが張り詰めているのに気付いて、その痛々しい感触に力を緩めた。
そして数秒前に響いた声が誰のものか分かって、ようやく顔を上げてそちらを向いた。
「……、……一ノ弟?」
「一ノ兄……。もういいだろ、一ノ兄。姉ちゃんももう分かってる。分かってるから……」
「……」
「ごめんな……一ノ兄……」
今にも泣き出しそうな顔をしてうなだれる弟分を、禊は唐突に夢から醒めたような呆けた眼差しで見つめる。
ただ一ノ兄と呼ばれる度に体が和らぐ気がして、ああ自分は“そう”だったと自覚することができた。生意気でお喋りで、元気だけは有り余った……たくさんの才に溢れた弟の、ただ一人の兄。血の繋がりは無くとも、互いに別のもので繋がっている。
見せかけの、本物以上の兄弟。

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