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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第11章 連理
 もし一度でも、禊を“禊”としてではなく一人の青年として見て、接することができていたら……。
(……こんなふうに、ならなかったのかもしれない……)
それを問うように、ただ黙するだけの神の姿を見ても視界が滲んで表情までは分からない。
 ただ分かるのは、もう……安易に手を差し伸べてはくれないということだけだった。でもそれはそれで神様らしいな、とどうでもいいことを考えて逃避し、心の安定を謀る。
 「余所見をしないで下さい」
「──ひっ!?」
しかし瞬間的に右肩に走った痛みに、神依は鋭く声にならない声を上げた。
「痛い……っ! 痛い、禊っ!!」
ぐち、と耳に残る嫌な音がして、それまで快楽の蜜に浸されていたぶん余計に強く苦痛が神依の意識に襲いかかる。
 何が起きたか分からなくて、ただ目の前にあった男の頭や背にすがればそれはようやく薄れていった。代わりに痛みを癒すように舌が這わされ、その僅かにでこぼことした皮膚の感触に、跡がつくほど噛まれたのだと分かった。
 「い……痛いよ、禊……。なんで……」
「先程申し上げたでしょう。貴女の目が神に向かうのは耐えられない。もしも許されるなら……私はそのまま食い千切りたいくらい、その朱印が憎いのです」
「禊……」
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