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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第11章 連理
 あの水晶のように、あの日は他にもいくつもの想いの欠片が散らばっていたのに、神依には見えなかった。
 一番近いそれはずっと神依の心に在って、美しい水を湛えその水面できらきらと真白の光を反射させては、底にこずんだ汚いものを隠してくれていたのに。
 そのあまりに純度の高過ぎる水は、あの星空の中では見えなかった。空気と同じようにあるのが当たり前で、空気と同じように透過されて、いつの間にか神依の目には映らないものになってしまっていた。
 (私……禊にいっぱい優しくしてもらったのに。……私は本当は、禊に少しも優しくなんてなかったんだね……)
 いつだってその……多分、愛という優しさに甘えて、貰うばかりで。
 それだけならまだしも、貰っていたことにさえ気付かない。気付かなければ、無いものと同じ。道端の石ころのように貶めて。
 そのくせ自分は野良猫のように、あちこちから別に上等な肉を貰って見せびらかすように口いっぱいに頬張って、幸せそうに味わって。石ころの間のわずかな食い残ししか貰えない獣は餓えて餓えて、……どれだけ、その腹を灼いたことだろう。
 それを差し出すことができたのは自分だけだったのに。何も気付かず、何も知らず、何もしなかった。
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