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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第11章 連理
 禊としてずっと共に在り、今となっては従者としての理性が揺らぐほど……少女は無自覚に、その瑞々しさと清らかさを誇る宝玉となっていた。それはもうこの様を目にすれば、一ノ弟にも分かるだろう。
 だがそうしたのは、きっと自分ではない。きっともう最初から──またそれも無自覚に──少女を磨いてきたのは、あの居丈高な男神に違いなかった。それは例えば、試練であったり──恋であったり。そういう名の、特別な砥石で。
 けれど。
「……神依様。本当は貴女には……神の側に在って欲しくなかった。たとえそれが、今、伍名様であっても」
「……禊……、私、あなたや伍名様が何を言ってるか……本当に分からないの。私は……」
「分からなくても結構です、私には分かりますから」
「禊……」
「神依様……あの砂浜で、初めてお会いした時のことを覚えていますか?」
「……?」
「あの日もあなたは神の……御令孫のお召し物を握りしめていた。まだ中身の出来上がっていない、殻や房ばかり立派で、そのくせ“やわ”で、爪先で裂けば白い汁しか出さないような、何にもならない無価値な穂の色をした羽織を握りしめて、小さく踞っていた」
「──禊……」
それを聞いた神依は恐怖と驚愕に瞳を震わせる。
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