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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第11章 連理
 大して痛みは無かったが、涙だけが頬を伝った。もうどんな感情より、悲しみの度合いが大きくなっていた。
 神依は両手に精一杯の力をこめ体を起こそうとするが、それも上手くいかない。ただかつての従者を見つめ、止められない涙をまつ毛と頬に感じる。
 「み……そぎ。どうして……?」
震える声──もはや禊と呼んでもいいのかすらためらっているような声音で自身を見上げる少女に、反面、禊の想いと欲は鎌首をもたげ、獲物を窺う蛇のようにゆらりと持ち上がる。
 隠すことすら忘れた柔らかな二つのふくらみに、なめらかな曲線を描く腰や腹は年頃の娘らしく、普段は隠されている脚も……きっと今もその間で息づく桃色の秘裂から、太もも、膝、ふくらはぎ、そして指先、かかとに至るまで……その全てに唇を落とし、舌を這わせ、むしゃぶりつきたくなるような心地に陥った。
 この体には自分のものとは違う、何か美しかったり愛らしかったり、そういうものが詰まっているんだろうなと思った。
 だからか、何だかとても甘い匂いまでする。寝着に燻(くゆ)らせた香と、風呂で使う石鹸と、酒と媚薬に火照った肌を湿らす汗の匂い。女の匂い。
 潮と砂と、妖しい粘液にまみれていたあの頃とはもう違う。
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