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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第11章 連理
 それを自ら、彼女に勧めたというのに。それを口にするたび心臓の辺りが重く痛んで、けれどもずっと気付かないふりをしていたのに。
 ──“禊だから”。
 ただそれだけを自身の存在意義のよすがにして、語ることも、動くことも、選ぶことも放棄して見守ってきたのに──。
 「……」
なのにこの神は今、その全てをここで為(な)せと言う。
 「……禊。お前は確かに、一の字を持つに相応しい禊であったかもしれない。だが……私の前では人は皆、男であるか女であるか、それだけだ」
「……」
「お前が、選びなさい。たとえそれでお前が神依の花を散らしても、私はお前を責めたりしない。その花の可憐さを、存分に愛でなさい。それは今日までこの子を守ってきたお前に与えられる、唯一の褒美だ」
「……」
「そしてそれに満たされたなら、その胸の内を全て語り、詫びたいと思うなら詫び、己の幸せを得るといい。いっとき縁の糸は千切れるが、それはまた時の流れと、お前の弟と、周りに在る小さな神々が撚り直してくれる。それに何より、この子は優しい子だからね。私も神として、お前と神依が幸福を得られるよう尽力しよう」
「……」
「ま……待って下さい……、なに……、どういう……ことですか……?」
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