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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第11章 連理
 ややあって、童はこくりと小さく頷く。
 まだ主が仮宿にいた頃、初めて“信じる”ことの意味が分かったあの日。
「猿彦様は……両の目で、お前の大事な人達を見ていてやってくれと……そう俺に言ってくれました。それはとても……幸せなことだからと」
「そう──それでいい。……お前の純な眼差しは、お前の主と兄を貶める百の不貞の疑惑の中にあっても、なお雄弁に一の真実を語るだろう。それがたとえ、御令孫の御前であってもだ」
「……はい」
「……っ」
神依の怯えた眼差しと、童のそのまっすぐな眼差しが重なる。
 神依は自身の言い分が聞き入れられなかったことを悟り、恥部を隠すように体を縮めた。
 そして、
「──禊」
「……」
「私は朱印を刻むこと以外はしない。代わりに、お前が神依を抱きなさい」
直後に聞こえてきた神の言葉に、愕然として目を見開いた。

***

 「…………」
そしてその言葉に驚愕したのは、禊も同じだった。先程まで、意固地に凍り付いていた心が動くほどの神の言葉。
 呆然と神に振り向けば、神は一直線に自身を見つめていた。
 その腕の中には、媚薬のせいか感情のせいか……何かに怯える小動物のように、体を震わせ目を潤ませた主がいる。
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