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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第11章 連理
 神依は再び求められたそれに、慌てて禊を見上げる。禊は神依の傍らに跪くと、まるで壊れ物を扱うようにその肩に触れた。
 灯の色を宿す瞳は優しかったが、夜の闇を映す肌の色は怖い。
「禊」
「……伍名様が貴女に狼藉を働くようなことは決してありません。後々、悪意をもって貴女様を傷付けるようなこともなさいません。たとえ貴女がお分かりにならなくとも、私と一ノ弟はそれを理解できます」
「でも……」
もう一度名を呼べば、禊はただいつもの口調でそう説きじっと神依を見つめる。
 それで神依は、初めてここに──淡島に来てから今までのことを思い出した。
 あの白砂の浜で抱き上げられてからずっと、神依が楽しかった時も寂しかった時も辛かった時も……置いてきぼりにしてしまった時も。
 きっとずっと自分のことを想って尽くしてくれていた青年。
 それの、何を疑うことがあるというのだろう。童だってそうだ。
「……童。……そうなんだよね?」
「……、……うん。それに……一ノ兄は、絶対神依様を裏切ったりしない」
「……」
神依の曖昧な問いに、童は神依の求める答えを的確に表してくれる。そして神依が出すべき答えも、あの日奥社の湯殿で選んだものと同じだった。
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