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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第11章 連理
 あんなにも優しく、あんなにも美しい“母”が──死という穢れに延々と浸され、誰にも理解されないままなのは嫌だった。
 (──あ)
そしてそれを想うのと同時に、その原初の男神より生まれた日嗣の血族の物語を思い出した。
 「えぇと。……その、根の国にいる天津神というのは……日嗣様のお祖母様の、もう一人の弟様なんですよね?」
「……?」
 だがそれを問えば、伍名はふと不思議そうな顔を作る。
 (──この子は……)
その話は穢れの話でもある。故に神々に嫌われ易く、淡島でもあまり語られない。
 にも関わらず、まだこちらに流れ着いて一年にも満たないこの娘が知っていることが──伍名には少し不思議だった。
 禊が話したのだろうか。だがそれも少し、違う気がする。この禊は自身と同じように、語らぬことに意味を見出だしている。
 (しかし──いや。やはり辞めよう)
そして結局、伍名はそれを問わないことにした。
 伍名は神として、語らぬこと、見せぬこと、区切ること、秘めることでその先の神性が保たれることを知っている。
 この少女の世界を侵すことはできない。してはならない。それはあの、御令孫のためにも。
 だから、自身は何事もないかのように続ける。
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