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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第11章 連理
そうして眉を下げた神依に、しかし伍名はその心中を察して今までで一番強い口調でそれを告げた。
 「神依、よく聞いてほしい」
「……」
「私はお前には、過去の縁より今の縁を大切に結んでもらいたいんだよ。たとえそれが、始めは糸のように細きものであったとしても──それは今日まで、お前がお前自身の手で大事に撚(よ)り、少しずつ丈夫に作り上げてきたものだからね。お前が毎日胸に抱く小さな花は、そういうものだろう?」
「……伍名様は何でも、ご存知なのですね」
「とりわけ甘い蜜の香りがする可憐な花には蝶も集ろうというもの。視線もつい、お前に向いてしまう。
然(しか)れば──あの広場に生い茂る木々はいただけないが、垣間見の方が男心はくすぐられる」
「……」
軽く笑うように紡がれた、それこそ“いただけない”言葉に、それでも神依は何故だかつられて笑んでしまった。
 (……ああ、そっか。……猿彦さんに、似てるんだ)
それが国津神の気質なのか、その神々ごとの気質なのかは分からない。ただこの神もまた、神依にも、禊達にも分け隔てなく接してくれて、その心を護ろうとしてくれる。
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