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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第11章 連理
 そう言いながら伍名は禊に酒を求め、酌を受けると一度声を含み呑み込むように盃を傾ける。
 それでも神依はなお、伍名にすがるような眼差しを向け問いを続けた。
「その神様の名前を、教えてはいただけないのですか?」
「私は神ゆえに、人に真実を語ることができない。言葉には言霊という霊力が宿る。意味のあることほど、神は語れないのだよ」
「……でも。……」
でも、と言いかけて、神依はまたふと我に返ったように口をつぐんだ。
 それを聞いたところで──どうするというのだろう。
 会いに行けるわけでもない。会えたとして、何をどうすればいいのかも分からない。語るべきことを、求めるべきことを神依は持たない。
 そして、それは母かて同じことだった。父が神というなら、母はきっと巫女だろう。もしかしたら、長い生の中でまだこの淡島に在って……自分のことも、知っているかもしれない。穢い噂にまみれた異端の巫女、惨事を引き起こした張本人だと思われているかもしれない。
 それを差し引いたとしてもおそらく、通いに来る神にそれを尋ねる巫女はいないものなのだろう。また。
「知る必要がない……、知らない方が、いいということですか……?」
「いや、それは違う」
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