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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第10章 身寄り
「水蛭子が禊を拒み、淡島の巫女が神を拒むとは──やはりその、猿彦が言っていた稀有な漂着のせいだろうか」
「あ……あの。……ごめんなさい……」
「ああ、いや──責めているわけではないんだよ」
不意に沈んだ声でなされた謝罪に、伍名はまたごくごく自然な動作で神依の頭を撫で、またその気持ちを和らげるようにそのまま指先で髪をなぞり、頬をつついた。
それが、かつて濡れそぼつ髪を直してくれた洞主のものと似ている気がして、神依はふと微笑む。
「伍名様……」
「悪かったね、私の言い方が良くなかった。あまりに稀なる花の色に、年甲斐もなく惑わされてしまったようだ」
「あ、いえ」
「神依。……お前は確かに稀人(まれびと)だ」
「まれ……びと?」
「ああ。海の彼方、山の奥など淡島という共同体の外──いわば異界ともいえる世界から訪れる、特別な存在。けれどもそれに、負い目や引け目を感じることはない。それは善きにしろ悪きにしろ、新たな流れを生み出すものでもある。一番良くないことは、滞ることだからね」
「滞る……」
「そう。金も物も、憎しみも愛情も。それが穢れというものだ。しかし、出会いは異質であればあるほど運命(さだめ)でもある。むしろ、それこそが御令孫には好ましかったのであろう」
「そう……なんでしょうか」
「そうだとも」
「あ……あの。……ごめんなさい……」
「ああ、いや──責めているわけではないんだよ」
不意に沈んだ声でなされた謝罪に、伍名はまたごくごく自然な動作で神依の頭を撫で、またその気持ちを和らげるようにそのまま指先で髪をなぞり、頬をつついた。
それが、かつて濡れそぼつ髪を直してくれた洞主のものと似ている気がして、神依はふと微笑む。
「伍名様……」
「悪かったね、私の言い方が良くなかった。あまりに稀なる花の色に、年甲斐もなく惑わされてしまったようだ」
「あ、いえ」
「神依。……お前は確かに稀人(まれびと)だ」
「まれ……びと?」
「ああ。海の彼方、山の奥など淡島という共同体の外──いわば異界ともいえる世界から訪れる、特別な存在。けれどもそれに、負い目や引け目を感じることはない。それは善きにしろ悪きにしろ、新たな流れを生み出すものでもある。一番良くないことは、滞ることだからね」
「滞る……」
「そう。金も物も、憎しみも愛情も。それが穢れというものだ。しかし、出会いは異質であればあるほど運命(さだめ)でもある。むしろ、それこそが御令孫には好ましかったのであろう」
「そう……なんでしょうか」
「そうだとも」

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