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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第10章 身寄り
もう一度竹林の方を見れば兎はほんの少しこちらに戻ってきていて、門の辺りでぴょこぴょこと跳ねていた。
***
神依達三人に取ってその神の訪問は、穏やかな川の流れにぽちゃりと小石が投げられたような──、一種、不協和音を伴うものだった。
「──妻問い、ではあらせられないのですね。或いは……洞主様のお口添えがあられたということは」
「おや。玉衣の言質など無くとも私は、目の前に初々しく可憐な巫女がいたら優しくその背を抱き、蜜を垂らした言葉を囁き合っては夢心地のままに花を散らし、腕に囲って共に愛を育みたいと思うのだが──それは神も禊も関係なく、男として当然の性(さが)だろう?」
「それは、大部分で私ごときには解りかねますが」
(……禊……)
神依はその神と人の会話を聞きながら、いろいろな意味でいたたまれない心地で甘い酒をちびちびと舐めていた。
妻問い──でないことだけはとにかく安心したが、神と禊の新手の嫌がらせにも聞こえる会話が今は神依の精神を蝕む。几帳の向こうで控える童の肩も、今は心なしか小刻みに震えていた。気持ちは分かる、神依だって笑うしかない。
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神依達三人に取ってその神の訪問は、穏やかな川の流れにぽちゃりと小石が投げられたような──、一種、不協和音を伴うものだった。
「──妻問い、ではあらせられないのですね。或いは……洞主様のお口添えがあられたということは」
「おや。玉衣の言質など無くとも私は、目の前に初々しく可憐な巫女がいたら優しくその背を抱き、蜜を垂らした言葉を囁き合っては夢心地のままに花を散らし、腕に囲って共に愛を育みたいと思うのだが──それは神も禊も関係なく、男として当然の性(さが)だろう?」
「それは、大部分で私ごときには解りかねますが」
(……禊……)
神依はその神と人の会話を聞きながら、いろいろな意味でいたたまれない心地で甘い酒をちびちびと舐めていた。
妻問い──でないことだけはとにかく安心したが、神と禊の新手の嫌がらせにも聞こえる会話が今は神依の精神を蝕む。几帳の向こうで控える童の肩も、今は心なしか小刻みに震えていた。気持ちは分かる、神依だって笑うしかない。

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