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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第10章 身寄り
 そしてその繭はあの綿の花の繊維のように細くさらさらとほどけて、神依の中に染み入っていく。
 それはまるで──
 まるで元は一つであったかのように、けれども陰陽の印の如く何か違うものを魂と血に混ぜて。
 ややあって、伍名は何かに満足したように再び口を開いた。
「……私は、時の移り変わり故に今は高天原に上がらせて頂いているが、元は国津神ゆえ豊葦原の人間の信仰の影響を特に強く受ける。そのおかげで、縁──というものを全て辿れる神威を得たのだが、それは分かるだろうか」
「えっ……えぇと。……目に見えない繋がり?」
「そう──ああ、いや」
「……っ」
伍名は言いかけると、さも自然な動作で──当たり前のように神依の頬を撫で、その隣を流れる髪を指先に絡めると、穏やかに笑みを浮かべた。
「こうして私の手の内で、幼いながらも艶やかに、愛らしく紅にほころんだ花が秋口の冷気と露につぼみに戻ってしまうのも惜しい。──禊」
「……はい」
「お前の可愛らしい姫の、可愛らしい唇に合う何か甘い酒を。それから、少し炭もあるといい。続きは中で話そう」
「……はい。かしこまりました」
「…………」
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