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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第10章 身寄り
 年の頃は、それこそ大兄と同じくらいだろうか。精悍で、けれども纏う空気は何となく柔らかな感じがした。
 或いはそれは、着こなしのせいかもしれない。
 日嗣程ではないが長い髪を緩く結い、意匠の施された土や葉の色──自然の色のゆったりとした衣の上に、日嗣と同じ出雲石や水晶の玉飾りを長く何重にも垂らしている。ただ日嗣と違うのは、帯や紐の結び方をちょっと遊ばせているところ。
 比べる対象が日嗣しかいないことが少し気恥ずかしかったが、仕方ない。
 そしてその男は雰囲気に違わぬ柔和な眼差しで、手のひらに乗せた何かに語りかけていた。
 その足元には小さな兎がいて、男より先に神依達の姿を認めるとぷるぷると震え、竹林の方に逃げていってしまう。
「──あっ」
神依が思わず声を出すと、その誰かもこちらに気付いたらしく顔を上げた。それで禊も事態を察し、道を開けると神依を前に導いた。
「国津神の長、伍名様であらせられます。……猿彦様の上に立つお方です」
「……、」
禊の隣を通る時そう囁かれ、神依は緊張したように歩を進める。そして先程は遠目で分からなかったが、よく見ると手のひらに乗っていたのは──。
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