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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第10章 身寄り
***
そんなある日の夜。
神依はその晩も、奥社を降って以来お気に入りの小さな露天風呂でのんびりと湯に浸かり体をほてらせていた。
一緒に湯に入る子龍をくすぐってやれば、気持ち良さそうに腹を出してゆら~っと水面を漂う。最初は最悪の事態を想像したが、割合とお湯も平気らしい。
「神依様、そろそろこちらへ。長湯し過ぎるのも体に良くありません」
「はーい。……だって」
禊の呼び掛けに神依は木桶で子龍をすくい、温泉の傍らに置いてやる。子龍は縁から顔を出し、ぽかぽかとゆだっていた。
そうして木や竹で組まれた脱衣場の中、髪や体を拭かれ落ち着いた頃──神依は着せられた寝着がいつもと違うことに気付いた。
「なんかいい匂いがする」
「香を焚き染めましたので。振る舞いはともかく、濡れ髪もこちらに来た時と比べると随分艶めかしくなりました。さすがにもう、童女と同じ扱いは致しかねます」
「本当? つやつや?」
「はい。──御令孫には本当に感謝申し上げないと。水気が取れましたらまた櫛をお通し致します」
「うん、ありがとう!」
ほかほかとした表情に、禊は僅かに複雑そうな眼差しを乗せ笑みを浮かべる。

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