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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第10章 身寄り
 頭の中身をどこかに置き忘れてきたかのような、馬鹿げた感情が思考の中にも心の中にも満たされて──その、狂おしく、もどかしい心地が空気までとろみを帯びたものに変えてしまいそうだった。
 言葉にしたら安っぽく聞こえてしまう感覚が体の中に渦巻いて、ただ、触れたいとか抱きしめたいとか、そんな思いで一杯になった。
 そしてその感情の一端が溢れ、腹の方に回していたはずの左手がなぞるように少女の衣の重ねを上に向かう。
 短く鋭い衣擦れの音と共に、神依は似た音で息を呑んだ。しかしそれに構わず、日嗣はその衣の割れ目から手を忍ばせ、つうと鎖骨を撫でる。撫でればぎゅうっとその体は強張った。
「何もしない……力を抜け」
「……ン」
腕の中の娘は無理だと訴えるように頭を横に振るが、また同時に甘い息を漏らし、何か堪えるように、裾の形が変わるほど自らの足を粘っこく絡ませている。
 それが自分のものと同じ疼きだと分かった日嗣は、意地が悪いとは思いつつも──嬉しくて。
 自身も背や腰に痺れるような微細な欲を感じながら、自らの朱印が刻まれたその小さな肩を撫でた。
「ぁ……っ」
その瞬間、神依の中に甘い電気が走る。
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