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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第10章 身寄り
目隠しをされているわけでもないのにぎゅっと衣を握る自身の手しか見えなくなって……触れられている喜びと、それを疼きに変えてしまう羞恥に全ての感覚が打ち震える。
日嗣様、とかろうじて声を結べば、相手もまた小さく答えた。
「……三人並んだ時、まだ一人短いようだったからな」
神依は日嗣の邪魔にならぬようわずかに頷き、その分突っ張った髪に少しの理性を託す。
「やっぱり、飾りの方が立派だったんですね……」
「あの時はな。だがこれからは……綺麗に伸びるよう、まじないをかけてある」
「櫛に?」
「ああ。……俺からの……褒美だ」
「……」
日嗣の耳に、嬉しい、と木の葉が擦れる音ほどの声が届いて、全身がこそばゆい心地でいっぱいになる。
別にねだられた訳でもない。ただそうしたくて、選ぶのにも渡すのにも悩んで、必死に感情を圧し殺して禊の真似事をしている。本当は、神依が嬉しいと言うのと同じくらい日嗣にもこの時間が嬉しい。
ただこのまま櫛を通し続けるのと、抱きしめるのと……どちらがそのくすぐったさを隠せるだろうと──。
そんなことを考えながらも決断できずに、もう一度ひとふさの髪をすくう。
日嗣様、とかろうじて声を結べば、相手もまた小さく答えた。
「……三人並んだ時、まだ一人短いようだったからな」
神依は日嗣の邪魔にならぬようわずかに頷き、その分突っ張った髪に少しの理性を託す。
「やっぱり、飾りの方が立派だったんですね……」
「あの時はな。だがこれからは……綺麗に伸びるよう、まじないをかけてある」
「櫛に?」
「ああ。……俺からの……褒美だ」
「……」
日嗣の耳に、嬉しい、と木の葉が擦れる音ほどの声が届いて、全身がこそばゆい心地でいっぱいになる。
別にねだられた訳でもない。ただそうしたくて、選ぶのにも渡すのにも悩んで、必死に感情を圧し殺して禊の真似事をしている。本当は、神依が嬉しいと言うのと同じくらい日嗣にもこの時間が嬉しい。
ただこのまま櫛を通し続けるのと、抱きしめるのと……どちらがそのくすぐったさを隠せるだろうと──。
そんなことを考えながらも決断できずに、もう一度ひとふさの髪をすくう。

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