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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第10章 身寄り
左右に猿彦と日嗣が並ぶのを感じて、神依は呟く。
「……巫女や覡じゃない人達はみんな、どんな暮らしをしてるんでしょう。私……自分の家と奥社の間をぐるぐるしてるだけだから。だから、ものを知らなくて……禊も不安になるのかもって」
「まあ普通の巫女はみんなそんなもんだけどな。元々あっちは巫覡(ふげき)や許された人間しか入れねえし、出ようとする奴もいねえ。……だけどお前は、いろんな場所を見てみたいって孫に言ったんだろ?」
「あ──日嗣様」
「……」
喋ったことを咎めるように隣を見上げれば、日嗣は押し黙り知らないふりを決め込む。知らないところで自分のことを話されているのはなんとなく恥ずかしいし気になってしまうのだが、しかし猿彦に関してはそれはお互い様だった。
だがその要の人物は、もうほとんど自身の役目を終えていることも知っている。
今はまだ指先で手を繋ぐような、甘皮をいじくるようなじれったさの残る二人だが、この二人の道は間違いなくもう開けているのだから。
「──だから、この時間は俺からの褒美だ」
「この時間?」
「ああ。思い煩う日常からかけ離れた忘れられた場所で、誰にも邪魔されない、二人だけで過ごす特別な時間」
「……巫女や覡じゃない人達はみんな、どんな暮らしをしてるんでしょう。私……自分の家と奥社の間をぐるぐるしてるだけだから。だから、ものを知らなくて……禊も不安になるのかもって」
「まあ普通の巫女はみんなそんなもんだけどな。元々あっちは巫覡(ふげき)や許された人間しか入れねえし、出ようとする奴もいねえ。……だけどお前は、いろんな場所を見てみたいって孫に言ったんだろ?」
「あ──日嗣様」
「……」
喋ったことを咎めるように隣を見上げれば、日嗣は押し黙り知らないふりを決め込む。知らないところで自分のことを話されているのはなんとなく恥ずかしいし気になってしまうのだが、しかし猿彦に関してはそれはお互い様だった。
だがその要の人物は、もうほとんど自身の役目を終えていることも知っている。
今はまだ指先で手を繋ぐような、甘皮をいじくるようなじれったさの残る二人だが、この二人の道は間違いなくもう開けているのだから。
「──だから、この時間は俺からの褒美だ」
「この時間?」
「ああ。思い煩う日常からかけ離れた忘れられた場所で、誰にも邪魔されない、二人だけで過ごす特別な時間」

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