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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第10章 身寄り
そうされれば、神依には曖昧にでも頷くことしかできない。ただ誰かがああいう顔をするのは切なくて、胸が痛んだ。それが自分のせいなら尚更、ちゃんと聞いてあげたかった。
「──…ているのか」
「え?」
「いや……何でもない」
そんな中、風と葉の音に混じり日嗣が何事かを呟く。
だが神依には聞き取れず、そのまま問い返すも──日嗣は目を背け、背後の、浅い紅葉の中に浮かぶ廃れたような玄(くろ)い宮を眺めていた。
その傍らには舞台があって、今は枯れ葉や草が風に舞っている。
「……あのお社は?」
隣で苦笑する猿彦を見上げれば、つと羽扇がまた別の方向に動く。
「ほら、ずっと向こう──下に村があるの、見えるか? 昔はあの村の鎮守の宮としてあったんだが、何十年か前にもっと近くに新しい社ができてな」
「へえ……神様もお引っ越しするんですね」
猿彦が羽扇で示す先に見える、小さな集落。なだらかな山裾に広大な田畑が広がり、その間に建物が点在している。
まだ薄い黄色の、波打つ稲穂──。
「……」
苔むす玉垣まで歩みその遠くの村を見れば、畦道を行く人や牛を牽く者の姿が小さく小さく見えた。
「──…ているのか」
「え?」
「いや……何でもない」
そんな中、風と葉の音に混じり日嗣が何事かを呟く。
だが神依には聞き取れず、そのまま問い返すも──日嗣は目を背け、背後の、浅い紅葉の中に浮かぶ廃れたような玄(くろ)い宮を眺めていた。
その傍らには舞台があって、今は枯れ葉や草が風に舞っている。
「……あのお社は?」
隣で苦笑する猿彦を見上げれば、つと羽扇がまた別の方向に動く。
「ほら、ずっと向こう──下に村があるの、見えるか? 昔はあの村の鎮守の宮としてあったんだが、何十年か前にもっと近くに新しい社ができてな」
「へえ……神様もお引っ越しするんですね」
猿彦が羽扇で示す先に見える、小さな集落。なだらかな山裾に広大な田畑が広がり、その間に建物が点在している。
まだ薄い黄色の、波打つ稲穂──。
「……」
苔むす玉垣まで歩みその遠くの村を見れば、畦道を行く人や牛を牽く者の姿が小さく小さく見えた。

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