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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第10章 身寄り
 「──淡島の、中央から離れた鄙(ひな)だ」
「な、俺ってすげー便利だろ? おかげで今も孫の使いっ走りだ」
「日嗣様、猿彦さん」
傍らに在った神を見上げ、神依はようやく何が起きたか悟る。
 これが──道を開く神、猿彦の力。
「でも……禊、置いてきちゃった……」
脳裏に、空間が変わる間際の、酷く焦った従者の顔が思い浮かぶ。
 禊はあの日以来──表向きは今までと変わらないが、どこか一歩退いたような空気を纏い神依に接するようになっていた。
 この神々に遠慮している部分もあるのかもしれないが……ただ神依にも禊の機微が分かるようになったのは、やはり過ごした時間の大きさだろう。
 なのに“あまのじゃく”の男は、未だに自分には何も語ってくれない。
 何を考えているのか、童に問うても「一ノ兄が言わないことは俺も言えない」と語らぬことで逆説的に何かを秘めていることを示している。
 それを言ってもらえないのは自分が頼りない変わり者の主だからだろうか……とも思うし、だからこそ、神依はその繋がりが希薄にならぬよう小さな神々の力を借りているのだが……。
 「……心配すんな」
「猿彦さん」
そんな神依の胸中を察したのか、猿彦がぽんぽんと頭を撫でてくれる。
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