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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第10章 身寄り
消えてしまうんじゃ、というその一言は今の童に口にすることはできなかった。そして今更ながら、傍らに在る者達が自分達と同じ……万能ではない存在であることを理解して、自分達以上に儚い存在であったことを悟って、眉を下げる。どんな強大な力を持とうとも、神として「認識されなければいないのと同じ」……淡島の、端神と何も変わらぬ存在。
 しかし日嗣はそれも承知のように、緩やかに頭を横に振ると微笑んだ。
「……けれどいくら時が巡っても、時折、そうして寄り添ってくれる者が現れる。それは……俺達に取って、何より幸いなことだ」
「……」
「だから……ありがとう」
「……御令孫」
日嗣の手は、今度こそ何の躊躇いもなく童の頭を撫でる。
 童もまたそれを受け入れ、何でもないように笑った。そして照れくさそうに頭を下げると、再び禊の元に戻る。
 「──さて、んじゃ次は神依だな」
「──え?」
そしてそれを見届けたところで、猿彦がやれやれと立ち上がった。
 億劫そうに背伸びをする猿彦を見上げれば、それは悪戯を企むような笑みと声音とに変わる。
「お前だって、孫からご褒美貰いたいだろ?」
「でも──」
そうは言われても、神依は日嗣に童のこと以上を願っていない。
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