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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第10章 身寄り
そう言って顔を上げた童は真っ赤な目をしながらも晴れやかな顔をしていて、子供らしい笑顔を日嗣と神依に向けてみせた。
 神依がこちらに流れ着いたときに抜けていた小さな歯は、今は綺麗に生え揃っている。
 それから童は改めて、それが当然のことであるように庭に下りると、日嗣の前で深々と頭を下げた。
「……ありがとうございました。今は……それしか言葉が浮かばないけど。……本当に、ありがとうございました」
「……いや。私の方こそ、──感謝する。良き……真の信仰を得たと」
 日嗣は童が紡いだ言葉の中に確かにそれを感じ、故にこそ神として言葉を返すと自らその小さな体を抱き上げ縁側に戻す。
 「御令孫」
「今、この下にある国元は……、神が居るのも居ないのも、要るのも要らないのも、人自らが各々の価値観で決められる国だ。それは俺達には幾分か……いや、とても寂しいことだが」
「……」
「しかしそれが人に取って幸いなことなれば……致し方ない。人の時は短く、見えぬものは無いものとして置き去りにされていく。そして信じるとは、人からも神からも強いられるものではない。道理だ」
「でも……それじゃあ、神様は」
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