この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第10章 身寄り
日嗣はその小さな手のひらに自らの手を重ね、ゆっくりとその心を現(うつつ)に戻してやる。
「あ……」
そして童が顔を上げこちらを見るのと同時にそっと玉の緒を取ると、髪を退け再び自身の首元に戻した。
「……一ノ弟」
それを待ち、禊が童に声を掛ける。
同じ座にて頭を垂れるのもおこがましい。地に降り、その足元に額を付けろと禊は弟分に無言のまま諭す。
「──……っ」
しかし童は感極まったかのようにじわりと涙を浮かべ、まるで禊の声など聞こえなかったかのように日嗣を見上げると、
「──…!?」
そのままぼすりと抱きついた。
「童……」
「……」
日嗣と神依は一瞬呆気に取られたように顔を見合せ、しかし日嗣は一呼吸置くと静かにそれを受け入れる。
「……どうした」
「ッ俺……こんな日が来るなんて、思わなくて。俺……本当に嬉しくて」
「……」
日嗣はその幼な子の頭に手を伸ばし、しかし何かに迷ったようにそれを止めると……数秒の後、ぎこちなくその髪を撫でた。
子供特有の、線が細く艶やかな黒髪。小さくて、間違って触れれば壊してしまうような気さえした。
……父たりえなかった自分の、知らない柔らかさ。
「あ……」
そして童が顔を上げこちらを見るのと同時にそっと玉の緒を取ると、髪を退け再び自身の首元に戻した。
「……一ノ弟」
それを待ち、禊が童に声を掛ける。
同じ座にて頭を垂れるのもおこがましい。地に降り、その足元に額を付けろと禊は弟分に無言のまま諭す。
「──……っ」
しかし童は感極まったかのようにじわりと涙を浮かべ、まるで禊の声など聞こえなかったかのように日嗣を見上げると、
「──…!?」
そのままぼすりと抱きついた。
「童……」
「……」
日嗣と神依は一瞬呆気に取られたように顔を見合せ、しかし日嗣は一呼吸置くと静かにそれを受け入れる。
「……どうした」
「ッ俺……こんな日が来るなんて、思わなくて。俺……本当に嬉しくて」
「……」
日嗣はその幼な子の頭に手を伸ばし、しかし何かに迷ったようにそれを止めると……数秒の後、ぎこちなくその髪を撫でた。
子供特有の、線が細く艶やかな黒髪。小さくて、間違って触れれば壊してしまうような気さえした。
……父たりえなかった自分の、知らない柔らかさ。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


