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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第10章 身寄り
 そしてこの男神は、意識せずとも在るだけでその罪を女に犯させる──という罪を犯し、ずっと孤独という罰を強いられている。少なくとも、淡島の中では。
 「……私」
だから神依は、自分にも言い聞かせるように、大事に続けた。
「……私、新しく来る子にはうんと優しくしてあげようって思います」
「そうだな……、それがいい」
「いいけど、八衢で泳ぐのはお前だけにしてもらわねえとな。また釣ってやれるか分かんねーし」
「……ふふっ」
そんなゆるゆるとした会話に笑えば、いろんな不安も薄れていく気がする。誰かと一緒だと、こんなにも心が救われる。
 でも、いつかは女の子の友達も交えてこんなふうにお喋りしたい。それが、今の神依の望みだ。
 そして会話が途切れたところを見計らい、禊が日嗣に近付き深々と頭を垂れた。
「恐れながら、御令孫。……差し出がましいとは存じますが、どうかこれ以上は」
「……お前にも、立場があろうからな。……仕方ない」
日嗣は一つ息を吐くと、隣でじっと石を見つめる童に目を遣る。
 まだ幼さに甘んじているが故に、屈託なく自然の道理を見、示すことができる存在。
 これが在らねば、禊もまたあの場で謳うことはなかった。
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