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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第10章 身寄り
 どうしたらいいのか分からず禊を窺えば、禊はやがて渋々といったように頷いて、行けと応える。
「──あのね、私、ずっと童にもご褒美あげなきゃって思ってたの」
「え、なんで?」
「勾玉、磨いてくれたでしょう?」
 そうして半ば強引に、神依に引っ張られるようにして隣に座らされた童の背を見て、禊はまた器の片付けや肴の用意に戻る。
 ──禊もまた、この神々が訪れるようになってからは妻問いの話をすることもなく、以前と変わらぬ生活を送るよう心掛けていた。
 ただ神々が訪れるようになった分、神依からは少し離れて過ごしている。
 特に位を持たない巫女達は、神事の日以外は禊を引き連れて各々自由に過ごしているが、その日中に本来は夜訪れるはずの神々がいるのだから仕方ない。共に過ごす時間も以前と比べれば少なくなった。
 しかし禊に取って重要なのは、主の心を脅かさないことでもある。
 この神々の存在が、主の心を傷付けるような契りを遮ってくれているならそれはそれでありがたいとも思うが……反面、大切に慈しんできたものを横から掠め取られるような、好ましくない感覚にも陥る。
(……いや。……そんなことを考えたら御令孫にも……それこそ、神依様にも礼を失する)
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