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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第10章 身寄り
 神々の方も、進貢の花に依りついた尋常ではない不安と焦燥を受け取り訪ねたのだが──事情を知った日嗣はそれから意図的に神依の元を訪れ居座るようにしているし、高天原の方でも多少睨みを利かせている。
 降れるものなら降ってみろといわんばかりのその無言の圧力は、端々の神にはそれだけで脅威だった。
 そして少し時が経った今、その成果も現れ始めたのか──未だ修繕中の朱の楼閣での宴は、好色に巫女を語るものから久方ぶりの御令孫の恋路の末を賭けるものに変化しつつあった。不機嫌な天照らす女神の目を盗み盗み、少しずつ。
 そしてそれに最も大枚をはたいているのが、猿彦である。
 ──しかし当の本人達は賭けの種にされていることなど露知らず、隣同士に座り呑気に湯呑みと盃を傾ける。
 日嗣が酒に強いというのは本当らしく、猿彦が断るような酒精の強いものも水のように飲んでいた。そうして日嗣は酒を煽りつつ神依が菓子を食べ終わるのを待ち、それを見届けるとおもむろに盃を置いた。
 「神依。お前にねだられた例の……褒美の件だが」
「あっ……どうですか? やっぱり、難しいかな……」
話を振れば、神依は自身も小皿を禊に預け日嗣を見上げる。
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