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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第9章 穂向け
「うむ──間違いない。人々はそうしたまつろわぬ神に娘を人身御供として差し出し、その荒御霊を鎮めようとした」
洞主は一口茶を含み、仕草で神依にもそれを勧める。神依は再び楊枝で花弁を切り分けるが、口に運ぶ気にはなれなかった。
洞主は更に言葉を続ける。
「八俣の大蛇という」
「やまたのおろち?」
「そう──名の通り、一つの体に八つの頭と八つの尾を持ち、腹が常に血に爛れておるという巨大な蛇の化け物じゃ。おそらく、その話であろう」
「や……八つの頭!?」
「おぞましかろう。しかし、巫女としておぞましきはここからじゃ。今は昔の話ゆえ、私も匠らが記す書物や巻物で目にするばかりだが……」
「……?」
そこでふと落ちてきた沈黙に、神依も意味無く花弁ごとに菓子を切り分けていたその手を止めた。
そしてそのまま先を促すように洞主を見上げれば、彼女は悲痛に満ちた面持ちで続ける。
「……そこでは、差し出された娘らは皆、巫女の姿で描かれる。ここまで申せば……そなたにももう、分かるであろ?」
「……っ」
──そしてそれを問われた瞬間、神依の背筋にぞわっと鋭い寒気が駆け抜けた。
なぜ今その話をされたか脳が一気に理解して、同時に凄惨な光景を勝手に想像してしまう。
洞主は一口茶を含み、仕草で神依にもそれを勧める。神依は再び楊枝で花弁を切り分けるが、口に運ぶ気にはなれなかった。
洞主は更に言葉を続ける。
「八俣の大蛇という」
「やまたのおろち?」
「そう──名の通り、一つの体に八つの頭と八つの尾を持ち、腹が常に血に爛れておるという巨大な蛇の化け物じゃ。おそらく、その話であろう」
「や……八つの頭!?」
「おぞましかろう。しかし、巫女としておぞましきはここからじゃ。今は昔の話ゆえ、私も匠らが記す書物や巻物で目にするばかりだが……」
「……?」
そこでふと落ちてきた沈黙に、神依も意味無く花弁ごとに菓子を切り分けていたその手を止めた。
そしてそのまま先を促すように洞主を見上げれば、彼女は悲痛に満ちた面持ちで続ける。
「……そこでは、差し出された娘らは皆、巫女の姿で描かれる。ここまで申せば……そなたにももう、分かるであろ?」
「……っ」
──そしてそれを問われた瞬間、神依の背筋にぞわっと鋭い寒気が駆け抜けた。
なぜ今その話をされたか脳が一気に理解して、同時に凄惨な光景を勝手に想像してしまう。

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