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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第9章 穂向け
しかしそれは大兄も同じだったようで、ややあって禊に声を掛ける。
「大弟。お前は何もお伝えしておらなかったのか」
「話す必要が無いことに関しては、元よりお話する気はありません。祭祀までは……という思いもありましたし、以降も御令孫の目を憚ってしばらくは無いのではと」
「まあ、一理ある。……しかし、これが現実だ。神々も永き時に膿んでおられる。一時の欲が始まりだとしても……神々の寵愛深き巫女は禊の誉れ。それは……分かるな」
「……はい」
「……迷いがあるならばまた訪ねてこい、愚痴くらいは聞いてやる。それが俺や、玉衣様の仕事だからな。それに、早々に高天原に召し上げられた方が良いこともある」
「うむ。神依、ようお聞き」
「は……はい」
神依は肩を縮こませたまま、飼い主の機嫌を窺う犬のように上目遣いで洞主を見上げる。
まさかお菓子を食べただけでこんな話をされるとは思わず、流れ着いた日に童から聞いた話もあったし、奥社を降った時に朱の楼閣がどんなものか禊からも聞いて理解はしているつもりだったが……それがこんな形で我が身にふりかかるとは、思いもしなかった。
そもそもこの件に関しては、自分と洞主の間には感覚で大きな齟齬がある。
「大弟。お前は何もお伝えしておらなかったのか」
「話す必要が無いことに関しては、元よりお話する気はありません。祭祀までは……という思いもありましたし、以降も御令孫の目を憚ってしばらくは無いのではと」
「まあ、一理ある。……しかし、これが現実だ。神々も永き時に膿んでおられる。一時の欲が始まりだとしても……神々の寵愛深き巫女は禊の誉れ。それは……分かるな」
「……はい」
「……迷いがあるならばまた訪ねてこい、愚痴くらいは聞いてやる。それが俺や、玉衣様の仕事だからな。それに、早々に高天原に召し上げられた方が良いこともある」
「うむ。神依、ようお聞き」
「は……はい」
神依は肩を縮こませたまま、飼い主の機嫌を窺う犬のように上目遣いで洞主を見上げる。
まさかお菓子を食べただけでこんな話をされるとは思わず、流れ着いた日に童から聞いた話もあったし、奥社を降った時に朱の楼閣がどんなものか禊からも聞いて理解はしているつもりだったが……それがこんな形で我が身にふりかかるとは、思いもしなかった。
そもそもこの件に関しては、自分と洞主の間には感覚で大きな齟齬がある。

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