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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第9章 穂向け
「洞主様……その、つまどいって……何ですか?」
そして再度その問いを投げ掛けたところで、
「神依……そなたは、いささか他の巫女とは勝手が異なる。それでも、巫女の役目については理解しておろうな?」
「は……はい。名前を貰った時に……神々に信仰を、歌や舞を捧げてその魂を慰め……その、寄り添って契りを結ぶ、と」
「うむ……ならばよい。妻問いとは、神々がその一夜の契りを求め、淡島の巫女や覡の元へ天降ること。逆から申せば……巫女が、神の一夜妻となることじゃな」
「え……っ、と」
その洞主の言葉を聞いた神依は、呆然としたまま硬直した。
 「巫女や覡はそれを数多重ね、いずれ求められれば高天原へと召し上げられる。身の回りの世話や、その才こそあらば政や祭祀を補佐する役目も与えられる。或いは巫女なれば……いずれかの男神の、神たる子を生めばその伴侶と認められる」
「あの……あの、待って下さい。私……私。それが、巫女の役目だと分かってはいるんですけど、でも──」
「なに……恐れることはない。巫女としてこれほどまで求められるは至って幸いなことなれば──契りの証として身に戴く朱印の数を競うても、いずれそなたに敵う巫女は居らなくなるかもしれませぬえ」
「っ……」
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