この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第9章 穂向け
しばらくして、涙をごまかすような笑いを含んだ声で日嗣が話し始める。それに神依は小首を傾げたが、すぐに日嗣の胸の中でにこりと笑い頷いた。
「ご褒美!」
「ああ」
日嗣はその胸元のくすぐったさに、どれだけ強く小さな体を抱きしめていたか気付くと……額を押し付けるようにもう一度肩を借り、ようやく顔を上げた。
危うく潰されかけた子龍が日嗣に抗議し、ぷいっと拗ねたように首を振る。神依がそれに笑えば、子龍はぴょんと地に降り怒ったようにのっしのっしと家の方に歩いていった。
二人はそれに笑い合い、御霊祭の時……壇上と石畳で視線を交わしたときより、ずっとずっと近くなった距離でもう一度見つめあう。
「今日は……いろいろありましたね」
「あり過ぎだ。でも……良かった。御霊祭でも、……今も。俺はお前に救われた」
「日嗣様」
「……ありがとう。……褒美をやる」
その日嗣の笑顔はとても朗らかで、けれどどこか悪戯味を帯びた、人なつっこそうなものだった。
こんなふうに笑えるんだ、とはにかみ、こくりと頷く神依に日嗣はもう一度その体を抱き寄せる。今度は、優しく。
男の胸はふわりと夜気に、香を焚き染めたような良い匂いがした。そんなことを、神依は初めて感じた。
「ご褒美!」
「ああ」
日嗣はその胸元のくすぐったさに、どれだけ強く小さな体を抱きしめていたか気付くと……額を押し付けるようにもう一度肩を借り、ようやく顔を上げた。
危うく潰されかけた子龍が日嗣に抗議し、ぷいっと拗ねたように首を振る。神依がそれに笑えば、子龍はぴょんと地に降り怒ったようにのっしのっしと家の方に歩いていった。
二人はそれに笑い合い、御霊祭の時……壇上と石畳で視線を交わしたときより、ずっとずっと近くなった距離でもう一度見つめあう。
「今日は……いろいろありましたね」
「あり過ぎだ。でも……良かった。御霊祭でも、……今も。俺はお前に救われた」
「日嗣様」
「……ありがとう。……褒美をやる」
その日嗣の笑顔はとても朗らかで、けれどどこか悪戯味を帯びた、人なつっこそうなものだった。
こんなふうに笑えるんだ、とはにかみ、こくりと頷く神依に日嗣はもう一度その体を抱き寄せる。今度は、優しく。
男の胸はふわりと夜気に、香を焚き染めたような良い匂いがした。そんなことを、神依は初めて感じた。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


