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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第9章 穂向け
日嗣が呟けば、神依は困ったように笑んで続ける。
「もちろんその間には、きっとお互いに嫌なことも、喧嘩することもあるかもしれないけど……離ればなれの心がいつか大きくなって、重なる部分が増えて一つに近くなったら……そういうのも、大丈夫なんじゃないかなって。少しずつでも、重なる部分を大きくして──日嗣様の心が安心して全部話せるようになるくらい。私がお母さんみたいに、日嗣様を抱きしめてあげられるくらい、大きくなったら」
「……」
「……そしたら二人で、一緒に謝りに行きましょう。……私に日嗣様を赦してあげることはできません。それができるのは誰か……日嗣様にはきっと、分かるはずです。その誰かが、日嗣様を赦したら……私も、日嗣様を赦します。私を赦してくれない人も……淡島にはいるかもしれないけど。赦してくれる人も、絶対いるはずだから。そうなれるまで……私は、ずっとここにいますから」
「……神依」
「……また、遊びに来てくれますか?」
「……っ……神依」
 それは神楽殿の時と同じように、瞬きの出来事だった。
 しかしあの時と違うのはもっともっと力強く、……情けなく、無様なこと。
 「日嗣様……」
それを日嗣はようやく受け入れ、自らが引き揚げたたった一人の少女の前で臆面もなく晒す。
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