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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第9章 穂向け
それで神依もまた、その大きな頭を両手で優しく抱いて頬を寄せた。
「……私のこと、覚えていてくれてありがとう」
『我が咎なれば……無論。あの足も立たぬ小さき神の雛が……今はもはや我が母ともなり目の前に在るとは、何とも慶ばしい』
「お母さん……、私が……?」
頷く龍に、神依は心の奥──もっともっと深いところで、喜びが溢れるのを感じた。そんなふうに言ってもらえるなんて、思わなかった。
ただほんの少し恥ずかしくてむず痒いのは……多分、日嗣を父と思う龍の心が伝わってきたからだ。
それを表すように、ふと鱗を撫でる手を止めた神依の後を引き継ぎ日嗣の手が龍の頬を撫でる。
龍はその穏やかな瞳に二人を映し、その満ちた魂をなお幸福に浸した。末はどうなるか分からぬが……今ばかりはまだ青く、幼い父母。初々しい。
「──そうだ。あなたはどんな名前を貰ったの?」
『斎水別神と。以後千年、私はこの森の神として水を絶やすことなく、またあらゆる水に関する災禍を遠ざけて御覧に入れます』
「綺麗な名前……川の神様の名前なんだね。この子もいつか、あなたのように立派な神様になってくれたらいいんだけど。まだいたずらっ子なの」
「……私のこと、覚えていてくれてありがとう」
『我が咎なれば……無論。あの足も立たぬ小さき神の雛が……今はもはや我が母ともなり目の前に在るとは、何とも慶ばしい』
「お母さん……、私が……?」
頷く龍に、神依は心の奥──もっともっと深いところで、喜びが溢れるのを感じた。そんなふうに言ってもらえるなんて、思わなかった。
ただほんの少し恥ずかしくてむず痒いのは……多分、日嗣を父と思う龍の心が伝わってきたからだ。
それを表すように、ふと鱗を撫でる手を止めた神依の後を引き継ぎ日嗣の手が龍の頬を撫でる。
龍はその穏やかな瞳に二人を映し、その満ちた魂をなお幸福に浸した。末はどうなるか分からぬが……今ばかりはまだ青く、幼い父母。初々しい。
「──そうだ。あなたはどんな名前を貰ったの?」
『斎水別神と。以後千年、私はこの森の神として水を絶やすことなく、またあらゆる水に関する災禍を遠ざけて御覧に入れます』
「綺麗な名前……川の神様の名前なんだね。この子もいつか、あなたのように立派な神様になってくれたらいいんだけど。まだいたずらっ子なの」

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