この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第9章 穂向け
その一言に神依がくすりと笑えば、日嗣も安心したように肩の力を抜いた。
「……まあ、彦の言葉を借りるならここで会ったのも何かの縁だ。歩けるなら……一緒に会いに行かないか。お前が何を興したか、見せてやる」
「──っ……はい!」
そうして、日嗣は一瞬迷ったように手を差し出し……神依もまた、喜びと胸の痛みと共に、その手を取った。
日嗣の過去を知る前……神楽殿で拒んだものを、神依は取ってしまった。知った今、手にしてしまった。
【2】
日嗣は神依の歩幅に合わせ、また深夜ということもあってかゆったりと歩んでくれた。
月と星の光が今の二人を導いてくれるもの。足元の水晶も、そんな小さな光の一つだった。
(あの時みたい……)
洞主に手を引かれ、地の底に降った時のことを思い出す。そして神依はその時と同じように何も語らず、また日嗣も口を閉ざしたままだった。
日嗣が何故語らないのかは分からなかったが……傍らで何を喋ったらいいのか、神依にはまだ分からなかった。
例えば日嗣自身が秘めた過去。それを彼が知らないところで視てしまったことを、本人に告げるべきなのか告げないべきなのか……考えれば考えるほどに分からなくなる。
「……まあ、彦の言葉を借りるならここで会ったのも何かの縁だ。歩けるなら……一緒に会いに行かないか。お前が何を興したか、見せてやる」
「──っ……はい!」
そうして、日嗣は一瞬迷ったように手を差し出し……神依もまた、喜びと胸の痛みと共に、その手を取った。
日嗣の過去を知る前……神楽殿で拒んだものを、神依は取ってしまった。知った今、手にしてしまった。
【2】
日嗣は神依の歩幅に合わせ、また深夜ということもあってかゆったりと歩んでくれた。
月と星の光が今の二人を導いてくれるもの。足元の水晶も、そんな小さな光の一つだった。
(あの時みたい……)
洞主に手を引かれ、地の底に降った時のことを思い出す。そして神依はその時と同じように何も語らず、また日嗣も口を閉ざしたままだった。
日嗣が何故語らないのかは分からなかったが……傍らで何を喋ったらいいのか、神依にはまだ分からなかった。
例えば日嗣自身が秘めた過去。それを彼が知らないところで視てしまったことを、本人に告げるべきなのか告げないべきなのか……考えれば考えるほどに分からなくなる。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


