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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第9章 穂向け
意地悪く言う日嗣に、神依はばつが悪そうに間に合ってますと呟き肩から羽織らせてもらう。日嗣の衣を奪うのはこれで三度目だ。二回目は禊にも怒られ、それでもきっちり清めていたのは彼らしい。
 「それより、体はいいのか」
「あ……はい。ご飯も食べて、あとはぐっすりでした」
「そうか。なら……良かった」
「……ありがとうございます」
心配して来てくれたと思い上がってもいいのだろうか。神依ははにかみながらぺこりと頭を下げる。
 しかし、その淡い喜びも顔を上げると共に消え去った。
 御霊祭は日嗣が司する祭祀だった。それをみっともなく泣きじゃくって、めちゃくちゃにしてしまった。日嗣の立場を考えれば、きっと良くないこともあっただろう。
 「あの……それから。……ごめんなさい。ちゃんとできなくて……本当に、すみませんでした……」
「……」
 神依が謝せば、日嗣はすぐに何のことか察したらしく──しかし目の前の少女を責めることもせず、頭を横に振った。
「お前が謝ることじゃない。……神は成った。巫女達の罪も俺が救えなかった命も、お前が興した神が禊ぎ、救った。後は俺が説教されて、終わりだ」
「説教?」
「婆様の前で正座させられてな」
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