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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第9章 穂向け
そして、とん、とんと──数個石を渡ったところで、
「……神依?」
「──え?」
思わぬ声に呼び止められ──神依は思わず顔を上げて目を見開いた。
神依を捉えたのは、どこか安堵を含んだ優しい眼差し。星明かりと闇を宿し、薄い黄金色になった……ある男神の瞳だった。
ふと緋色の雲海で向き合ったときのことを思い出した。何気なくだったけれど、初めて名前を呼ばれたとき。嬉しくて、つい大きな声で返事をしてしまった。
「──日嗣様……?」
今度は神依が名を呼べば、怒られたことの仕返しとばかりに得意顔をした子龍がその肩からぴょこりと顔を出す。
あんなに一生懸命追いかけたのに、「もう」と居心地の悪さしか思い付かない。それでも子龍を乗せ差し出された大きな手に応えれば、その主は呆れたように息を吐いた。
「お前は……こんな時間に一体何をしているんだ」
「それは私の台詞です、……!」
「……」
応えて、自身が薄い寝着姿だったことに気付いた神依は慌てて横を向く。相手もそれに気付いたらしく、わずかに視線を反らすと羽織を脱ぎ神依の頭から被せた。
「ひ──日嗣様」
「余程着るものに困っているようだな。反物でも贈ってやろうか」
「……神依?」
「──え?」
思わぬ声に呼び止められ──神依は思わず顔を上げて目を見開いた。
神依を捉えたのは、どこか安堵を含んだ優しい眼差し。星明かりと闇を宿し、薄い黄金色になった……ある男神の瞳だった。
ふと緋色の雲海で向き合ったときのことを思い出した。何気なくだったけれど、初めて名前を呼ばれたとき。嬉しくて、つい大きな声で返事をしてしまった。
「──日嗣様……?」
今度は神依が名を呼べば、怒られたことの仕返しとばかりに得意顔をした子龍がその肩からぴょこりと顔を出す。
あんなに一生懸命追いかけたのに、「もう」と居心地の悪さしか思い付かない。それでも子龍を乗せ差し出された大きな手に応えれば、その主は呆れたように息を吐いた。
「お前は……こんな時間に一体何をしているんだ」
「それは私の台詞です、……!」
「……」
応えて、自身が薄い寝着姿だったことに気付いた神依は慌てて横を向く。相手もそれに気付いたらしく、わずかに視線を反らすと羽織を脱ぎ神依の頭から被せた。
「ひ──日嗣様」
「余程着るものに困っているようだな。反物でも贈ってやろうか」

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