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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第9章 穂向け
 雨戸を開ければ、そこには一面の星空──。
「わあ……!」
洗われたように澄み渡る星海とそれを進む月の船は、夜でも惑わぬほどに世界を青白く照らしていた。
「これを見せてくれたの? ──?」
草履を履き、庭に降りると土まできらきらと輝いている。よく見るとそれは、水晶のさざれだった。
 (童が言ってた……)
あの満天の星々のうち、砂粒ほどのものが落ちてきたのだと言われても今なら信じられる。拾おうとしゃがんで手を伸ばせば、それは直前で玉響(たまゆら)の如く涼やかな音を立て、水と弾けた。小さなものから、また元の輪に還り始めているようだった。
 「……」
神依は立ち上がり、朝鼠軼と話すときのように竹垣の方へ向かう。そしていつものように雲海を臨めば……そこには、砂金をばらまいたような星々が散りばめられていた。
 (……すごい)
しばらくそれをぼうっと眺めていると、突然池の方からばしゃんと水が跳ねる音がする。見れば子龍が寝ている鯉を驚かす遊びを始めており、神依は慌ててそれを止めに向かった。
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