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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第9章 穂向け
日嗣はそれに、はいとは答えなかった。
そうしてそれにも説教を加えられ、ようやくその癇癪から解放される頃には月も随分とその位置を変えており……日嗣は退出と同時に大きく息を吐いた。
月読はそれにふんと笑い、とうの経った遊郭の女のように気だるそうな雰囲気のまま、日嗣を流し見る。
「……巫女より楽人を選ぶべきであったな。音無き舞など、私には興醒めだ」
「……」
その言葉に、日嗣は陽炎のような背を追う。
あの時……神の依り憑いた神依は確かにその笛の音と共に在り、舞っていた。
「……大叔父上でしたか」
「喜べ……此度ばかりは良き見せ物であったと素直に褒めてやる。泣き喚いて巫女を求めるお前の姿など、千年分の酒の肴だ」
「……」
その嫌な言い方に、日嗣が渋面を作れば月読は殊更愉快そうに唇に弧を描いた。
「それその顔よ……。よく私とお前を並べては、金と銀に色は違えどよう似ておると申す者がおるが……お前は私には到底できぬ無様を見せてくれるのでな。……もし私が泣き喚けばああいう顔になるのかと、見れぬものを見るのは愉しくて仕方ない」
「……大叔父上もまた、私にはできぬことをよくなさいましょう。……次の玩具は、神依ですか」
そうしてそれにも説教を加えられ、ようやくその癇癪から解放される頃には月も随分とその位置を変えており……日嗣は退出と同時に大きく息を吐いた。
月読はそれにふんと笑い、とうの経った遊郭の女のように気だるそうな雰囲気のまま、日嗣を流し見る。
「……巫女より楽人を選ぶべきであったな。音無き舞など、私には興醒めだ」
「……」
その言葉に、日嗣は陽炎のような背を追う。
あの時……神の依り憑いた神依は確かにその笛の音と共に在り、舞っていた。
「……大叔父上でしたか」
「喜べ……此度ばかりは良き見せ物であったと素直に褒めてやる。泣き喚いて巫女を求めるお前の姿など、千年分の酒の肴だ」
「……」
その嫌な言い方に、日嗣が渋面を作れば月読は殊更愉快そうに唇に弧を描いた。
「それその顔よ……。よく私とお前を並べては、金と銀に色は違えどよう似ておると申す者がおるが……お前は私には到底できぬ無様を見せてくれるのでな。……もし私が泣き喚けばああいう顔になるのかと、見れぬものを見るのは愉しくて仕方ない」
「……大叔父上もまた、私にはできぬことをよくなさいましょう。……次の玩具は、神依ですか」

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