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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第9章 穂向け
「そもそもそれが居らねばつつがなく祭祀は済んだのだ! そうでなくともまつろわぬ神などさっさと処分してしまえば良かったというに──挙げ句、人どもをこの高天原に立ち入らせるなどとんでもない!! 何故我が血族の男神どもは、そうしていちいちわらわに手を焼かせるのじゃ!!」
「……それは姉上が、いつまでも可愛らしくあらっしゃるからであろ」
 不用意に口を挟めばその言葉数を数倍にも増やされて逆襲される。それに大叔父は面白そうに油を注ぎ、なおその火を赤々と燃やそうとする。
(……結局、説教に呼ばれただけか)
しかし祖母はそれをせねばならぬ立場にあるし、今回ばかりは致し方ない。この女神の場合、喚いて済む怒りならまだ無事なのだ。
 特に魂を荒ぶらせた天照は、荒祭宮(あらまつりのみや)と呼ばれ人々から恐れられていた。燦々と照る太陽は全てを灼き、嬲るようにじわじわと命を干からびさせていく。それに敵う神は……高天原にはいない。
 説教で済むうちは、まだいいのだ。だからそれを知る大叔父も、ふざけ半分で今を過ごしている。
 「──よいか日嗣、お前も二度と淡島の巫女には関わるでないぞ。神事に戻うたならお前にはその字に相応しき役目が山とある。──戻っておいで」
「……」
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